日台熱愛物語

僕と彼女、彼女と僕

付き合ってくださいと言うまで

そもそもうちの大学で男と女が誰にも知られず付き合うのは至難の技なんだ。

うちの大学は一学年約150人。四学年合わせても700人くらいしかいない。とにかく小さな大学。

しかもほぼ全寮制だから、ほとんどの学生が学内に住んでいる。

うちの大学には一人の時間なんてものはない。

いつも誰かがそばにいる。

寂しがりやさんには最高の環境かもしれない。

けどやっぱりたまには一人になりたいと思うこともある。

彼女と知り合って、僕の頭は彼女でいっぱいになった。

朝起きてから夜寝るまで、食事中も授業中も、シャワーを浴びているときも、僕の頭の中は彼女の笑顔でいっぱいになった。

生まれて初めて味わった。

心が痛い。

心臓じゃない。

心が痛む。

目には見えないし、普段は意識することもない、自分の内側というか、自分の感情そのものが痛い。

うまく表現できないけど、言葉にするとしたらそんな感じ。

心の痛みの正体をつきとめるのにそれほど時間はかからなかった。

僕は彼女が好きなんだ。

たった一回。それも学校のカフェテリアで食事をしたとき隣に座っていただけ。知り合いなのかどうかも怪しい。

それなのに僕は彼女が好きになった。

つまり僕は彼女が欲しくなった。

つまり僕は彼女と付き合いたいと思うようになった。

彼女のことを考えて、頭が狂いそうなほど心に閉塞感を感じたある晩、僕はノートに一言書き記した。

覚えたての中国語。

我喜歡你。

続く