日台熱愛物語

僕と彼女、彼女と僕

付き合ってくださいと言うまで

あれは確か大学祭の日。時間は昼くらいだったかな。

もともと大学祭には出られないはずだった。野球の試合で、関東まで遠征する予定だった。

それが連日続いた大雨のせいで流れた。おかげで大学祭に参加できるようになった。

とはいえ大学祭当日の朝に大会延期の知らせを受けた時正直がっかりした。大学祭なんかより野球の試合のほうが断然面白く感じられた。

突然延期の知らせを受け、そもそも大学祭に参加する予定のなかった僕は一気に暇になった。

今さら野球部で何か模擬店をやらせてくれと頼んでも、大学側が許可してくれるはずがない。

僕は仕方なく食事のためだけに大学祭へ足を運んだ。

あの時の僕はどうかしていたんだと思う。大学祭で活気づくキャンパス内を歩きタバコで闊歩した。

突然大学の職員が慌てて駆け寄ってきた。

そして大学職員に歩きタバコを注意されている姿を彼女に見られた。

彼女はなぜか知らないけど笑顔で僕のことを見つめていた。

もしかしたら馬鹿にして笑っているのかもしれない。

そう思った僕はちょっと悲しくなった。

まさかあれがちょっとしたきっかけになるなんて思いもしなかった。

次の日僕は試合の延期と歩きタバコを注意してくれた大学職員に感謝することになる。

続く

付き合ってくださいと言うまで

そもそもうちの大学で男と女が誰にも知られず付き合うのは至難の技なんだ。

うちの大学は一学年約150人。四学年合わせても700人くらいしかいない。とにかく小さな大学。

しかもほぼ全寮制だから、ほとんどの学生が学内に住んでいる。

うちの大学には一人の時間なんてものはない。

いつも誰かがそばにいる。

寂しがりやさんには最高の環境かもしれない。

けどやっぱりたまには一人になりたいと思うこともある。

彼女と知り合って、僕の頭は彼女でいっぱいになった。

朝起きてから夜寝るまで、食事中も授業中も、シャワーを浴びているときも、僕の頭の中は彼女の笑顔でいっぱいになった。

生まれて初めて味わった。

心が痛い。

心臓じゃない。

心が痛む。

目には見えないし、普段は意識することもない、自分の内側というか、自分の感情そのものが痛い。

うまく表現できないけど、言葉にするとしたらそんな感じ。

心の痛みの正体をつきとめるのにそれほど時間はかからなかった。

僕は彼女が好きなんだ。

たった一回。それも学校のカフェテリアで食事をしたとき隣に座っていただけ。知り合いなのかどうかも怪しい。

それなのに僕は彼女が好きになった。

つまり僕は彼女が欲しくなった。

つまり僕は彼女と付き合いたいと思うようになった。

彼女のことを考えて、頭が狂いそうなほど心に閉塞感を感じたある晩、僕はノートに一言書き記した。

覚えたての中国語。

我喜歡你。

続く

付き合ってくださいと言うまで

僕が彼女に「付き合ってください」と言うまで結構な時間がかかった。

 

約2か月。

 

そもそも僕は彼女と出会ったその日、彼女が好きになった。

 

一目ぼれかどうかは覚えていないけど、彼女で初めて会ったその日の夜、僕は彼女のことで頭がいっぱいだった。

 

「なんてかわしい人なんだろう」

 

「もっと知りたいな」

 

「とりあえず友達になりたいな」

 

「明日もカフェテリアにいるかな」

 

あの日の夜はもしかして自分が何かの病気になったんじゃないかと心配になったくらいだ。

 

とにかく寝れなかった。

 

大勢の台湾人と一緒に夜ごはんを食べて、その時たまたま隣に座っていた台湾人留学生の女の子。

 

たったそれだけのことなのに、彼女の顔が頭から離れない。

 

そんな経験は生まれて初めてだった。

 

正直どうしていいのか分からなかった。高校時代にも彼女はいたけれど、こんなに心臓がドキドキして、眠れなくなるのは初めてだった。

 

その夜から「付き合ってください」の一言を彼女に伝えるまでの長い(!?)道のり。

 

これから何回かに分けて書いていきたいと思う。

 

おそらく何人かは感動してくれると思う。

 

少なくとも僕はあの時のことを思い出すだけで感動する。

 

続く

~出会いはふとした瞬間~

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初めて彼女に会ったのはいつだっただろうか。

 

ずいぶん前のことだから、正確には覚えていない。

 

世の中には彼女との記念日(小さいのから大きいのまで)を正確に記憶している男もいるそうだが、申し訳ないが僕はほとんど覚えていない。

 

唯一覚えているのは僕と彼女が付き合い始めた日。

 

あれは2009年12月31日だった。

 

僕と彼女が初めて会ったのは、おそらく2009年の10月頃だったと思う。

 

つまり僕たちが付き合い始める2,3か月前。

 

出会った場所は恐らく学校のカフェテリア。

 

カフェテリアを横切ろうとしたら、誰かに呼び止められた。

 

「誰だ」と思い、振り返ったら台湾人留学生の友達だった。

 

そいつに「一緒にご飯を食べない?」と誘われたが、あいにくそのとき僕は授業に向かうところだったので、丁重にお断りをした。

 

でも台湾人留学生の友達はしつこかった。

 

「いいじゃんちょっとくらい!ねっ、ここ座って!はやく、はやく」

 

内心ちょっとうっとうしいなと思いつつ、僕は仕方なく台湾人留学生10人余りが陣取るカフェテリアの隅のテーブルに腰を下ろした。

 

そう。

 

そのとき僕の隣に「たまたま」座っていたのが、僕の今の彼女。

 

台湾人はたいてい英語の名前を持っているから、僕は彼女と出会ってからの数か月間、彼女の本名を知らなかった。(知っていたとしても、当時中国語が全くできなかった僕には発音できなかったわけだけど)

 

僕と彼女の出会いはこんな感じ。

 

短くまとめると、僕と彼女は学校のカフェテリアで偶然隣の席に座り合わせたことがきっかけで、まずは友達になった。

 

彼女に関する情報としては、「台湾人」「留学生」「僕より2歳上」「女」...今のところはこれくらい。

 

続く